「授業理解困難」を経験した子は、将来、どのようなリスクを増やしたり、強みを減らしたりするのかを見てみましょう。当初のリスクから派生した要因から付随的に生じるリスクや強みも含めた総合効果(上表では右側の列)で見ていきます。
先ず、将来の予測されるリスクで最も拡大率が高いものは「若年無業者」になるリスクで、「授業理解困難」でない子に比べ、実に13.19倍もリスクを高めています。就職氷河期時代に就職できなかった、いわゆる「ニート」の人たちは、その後も失業や非正規雇用として、苦しい生活を送っており、現在、50歳代になっても貧困に苦しんでいます。現代の格差問題の中でも、最も緊急に対策が必要な人たちです。
その次にリスク拡大率が高いのは、「非正規雇用」や「貧困」になるリスクで、共に3倍を超えています。
一方、強み要因は総合効果で見るとかなり、よくリスク縮小効果が維持されています。まず自身の価値観の強みでは「自信・信念」「目標・計画性」が平均以上に維持されており、それに加え「家族の支援」「友人ネット」などの支援も平均以上受け、それらの成果として「正規雇用」を「授業理解困難」でない人の1.61倍も高めていることが分かりました。しかし、問題点は「結婚」「第1子出生」がそれぞれ、0.9倍前後に落ち込んでしまうことです。
今後の少子化社会を少しでも防ぐためには、「授業理解困難」を少しでも減らし、一律の教育から、それぞれの得意分野を生かした教育を進めていくことが非常に重要になります。