不登校の仲間と「しゃべん会」をつくる |
会は「しゃべる」にちなんで「しゃべん会」と名付けた。不登校経験者でつくる団体「Fline(フライン)」が今年1月から月1〜2回、福岡市西区の公民館などで開いている。4月の集まりには5人が参加した。菓子を囲み、車の話題から親や先生のことまで話は多岐にわたる。部屋には笑い声が響いた。
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「Fline」の設立メンバーは10〜20代の6人。全員、不登校経験がある。その1人、「ボス」と呼ばれる代表を務める福岡県立高2年、末本晴香さん(16)は「かつての自分にこんな場があればよかった、と思える場をつくった」。
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不登校になったきっかけ |
末本さんは熊本市での中学時代、学校へ行けなくなった。ハードな部活動や、人間関係への疲れを感じていた。校則への従順さを求め続ける学校にも違和感があった。1年の3学期、部活動の朝練を休んだことをきっかけに、徐々に学校から足が遠のいていった。 |
ただ、保健室などに行くことはあり、同じように教室へ足が向かない生徒としゃべるようになった。教室へ行く怖さ、授業についていけない不安、教師への不信。「ほかの人も同じような思いを持っているのを知り、安心できた。この経験がしゃべん会につながった」という。
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不登校の親の会と一緒に |
末本さんはその後、福岡市へ転居。母親は不登校の子を持つ保護者が交流する「ひだまりの会」に月1回、参加していた。ここに末本さんも顔を出すようになったのが、しゃべん会をつくるきっかけになった。ほかにも親と一緒に来る子がいて、交流が深まった。 |
「不登校で昼夜逆転したら太った」「受験どうする?」。話は弾み、ひだまりの会が開かれる時には、同じ公民館内の別の部屋を子ども用に借りるように。1月、この会を「しゃべん会」と名付けた。
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NPOカタリバで経験を共有 |
末本さんは3月末、高校生のキャリア教育を支援するNPO法人「カタリバ」が東京で開いた「全国高校生マイプロジェクトアワード」で、今後の展望などを語った。会に来られない子の自宅訪問や、教員をめざす大学生との交流といった構想を話し、優勝した。いま、こう考えている。
「一人じゃないと知ってほしい。不登校になったからこそできた経験、出会えた人、知った世界、越えられた壁がある。いつかそう思えるための一歩を踏み出す場にしていきたい」 |
保護者の会を主宰する元福岡市立中学校長の木村素也さん(62)は「不登校のただ中にいる子にとって、年齢の近い末本さんたちは成長モデルになる。自分の先が見えることはとても大事だ」と話す。問い合わせはメールで末本さん(fline.futoko@gmail.com)へ。 |
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