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フォーラム: 優良な社会企業 |
フリーター選択と社会的ネットワーク |
Eメール: | 係: | |
答: 近年、フリーターの増加が社会問題となっているが、学校から職業への「移行」(Transition) に関する研究からは、性別では女性が、また、学歴・家庭背景などが相ホ的に低い状況にある若 者がフリーターになりやすいことが指摘されている。しかし、若者のフリーター「選択」に影響 を与える要因についての量的な検討は多くはない。 本論文は、フリーター選択と近年着目されている社会的ネットワークとの関係に着目し、高校 3 年生を対象とした質問紙調査から、限定された社会的ネットワークがフリーター選択に影響を 与えているかどうかについて検討を行った。 | Hampstead Heath, London, in May | |
配置番号:あなたの投稿された質問と回答が何処に配置されるかを示すため、1から5まで(少数を含む)を指定してください。: 内田龍史(2007)『フリーター選択と社会的ネットワーク ―高校3 年生に対する進路意識調査から―』理論と方法(Sociological Theory and Methods) 2007, Vol.22, No.2:137-138 | 地図: 2010-09-19 00:00:00 |
2つの社会的ネットワークが、フリーター選好に影響を与える | ||||||
その結果、高校生のネットワーク構造は「安定・ホ ワイトカラー」「不安定・ブルーカラー」ネットワークの2 つに分類され、「安定・ホワイトカ ラー」ネットワークに組み込まれている高校生はフリーターを選択せず、 | 逆に「不安定・ブルー カラー」ネットワークに組み込まれている高校生はフリーターを選択する傾向が見られた。高校 生が組み込まれている社会的ネットワークの存在が、若者たちの進路分化に影響を与えているこ とが示唆されたのである。 | |||||
本論文の意義(太郎丸2007) | ||||||
内田論文 は、高校卒業後にフリーターになりやすいのは、どのような高校生かを検討している。彼のア プローチはかつてのウィスコンシン学派の地位達成分析(例えばSwell, Haller and Portes 1969) を彷彿させる。まだ確言はできないが、出身階層の低い子どもほどフリーターになりやすい傾 向がいくつか報告されている(例えば、太郎丸2006)。 | そのような世代間の関係が生じる理由 の一つとして、出身階層が低いと準拠集団となる人々も社会的地位が低くなり、そのせいで学 歴や職業のアスピレーションが低くなるというメカニズムが考えられる。内田は、このような 仮説にもとづき、高校生の周りの人々の社会的地位がフリーターになる確率を高めることを示 している。 | |||||
先行研究 | ||||||
フリーター選択と社会的ネットワークの関係に関する研究の嚆矢となったのは新谷(2002) である。新谷は相対的に低い社会階層にある若者たちのフリーター選択要因としての「地元つ ながり文化」を見いだしたが、以降の研究は、新谷の指摘と重なり合う知見が多い。たとえば 杉田ら(2003)は進路多様高校生に対するインタビュー調査から、彼/彼女らの空間的な見通 しの範囲の狭さが進路選択の幅に一定の制限を加えていることを指摘している2)。堀(2004) は、無業の若者に対するインタビューから、彼/彼女らのソーシャル・ネットワークの一類型 として、地元の濃い人間関係に安住する「限定型」を見出し、「限定型」ソーシャル・ネット ワークは、若者を精神的にサポートすると同時に制約する側面も見られることを指摘してい る。部落解放・人権研究所編(2005)は、社会的に不利な立場に置かれた若者のロール・モデ ルの限定がフリーターの析出に影響を与えていることを生活史聞き取り調査から明らかにして いる。 | 量的データに基づく調査研究として、堀(2006)は、高校生に対する進路意識調査から、進 路における相談相手を指標とし、相談相手の多寡認識が、進学者を除く進路決定に影響を与え ていることを検証している。樋口(2006)は、仲の良い友達や信頼できる先生の多さなどの指 標から、在学時における学校へのコミットメントの強さが円滑な「移行」に大きな役割を果た していることを指摘している3)。 | |||||
Reference2: 新谷周平.2002.「ストリート・ダンスからフリーターへ」『教育社会学研究』第71 集:151−170 | ||||||
Reference3: 堀有喜衣.2006.「若者のソーシャル・ネットワークの構造と機能―高校生の教育から職業への移行を 事例として―」『自治体学研究』(神奈川県自治総合研究センター)第92 号:22−27. | ||||||
Reference4: 樋口明彦.2006.「社会的ネットワークとフリーター・ニート―若者は社会的に排除されているの か―」太郎丸博編『フリーターとニートの社会学』世界思想社:49−74. |
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